今回はダーナ編とマーラ編の2回に分けて、“ターゲットトレーニング”についてご紹介します\(^o^)/。
動物園には、職員が同じ空間でも触ることのできる動物(ウサギ、馬、ヒツジなどの主に家畜)と、柵越しでないと危険な動物(ライオン、クマ、サル類などの野生動物)がいます。
調教されたゾウなどは同じ空間に人が入ることもありますが、常に危険を伴い、また、全ての職員が同じように扱えるわけではありません。
そこで、柵の外からでも安全に、動物に必要なケア(採血などの検査や治療、ブラッシング、爪切りなど)ができるよう、ターゲットレーニングというものを日頃から行っています。
ゾウで最も危険な部位は“鼻”です。ゾウがその気になれば、人を巻きつけて地面に叩きつけたり、柵に押しつけて人間にケガを負わせることは簡単です。そのため、ゾウのケアをする上で、鼻を動かさないようにしておくことはとても重要です。
そこで、指示した部位(ターゲット棒の先)に体の一部を接触させていると、ご褒美(おやつのパンなど)がもらえるというトレーニングを行います。
マーラのお父さん、ダーナのトレーニングの様子です。
「ハナ」という号令でターゲット棒の先に鼻をつけさせ、「ヨコ」で体を柵につけさせ、「アシマエ」で、前肢を柵の小窓に乗せさせます。上の写真のように前肢を出すことができれば、爪切りや足先の消毒など、前肢のケアを行うことができます。
次に、鼻を柵の前に出させ、「ミミ」という号令で、柵の外に耳を出させます。こうすることで、柵越しに耳から採血を行うことができます。
そして、少し離れたところに棒を出して「アタマ」と言うと、体の向きを変えながら、頭をターゲット棒につけて待ちます。
今度は、「アシウシロ」の号令で、後肢を柵の小窓に乗せさせます。
どの角度からでもアプローチできるように、さらに90度回転させ、「アシウシロ」。
「ハンタイ」の号令で、左足から右足に変えます。
ダーナは、「ハナ」「ミミ」「アタマ」「ヨコ」「アシマエ」「アシウシロ」「アト」「マテ」「バック」「ハンタイ」などの言葉を理解しており、人でも間違えてしまいそうな号令を(私だけかな・・・(^^ゞ)、一瞬で判断して動くことができます。
知らない人が見ると、棒でゾウを突いている(?)ように見えますが、とても大事なトレーニングです。ダーナは通常一日3回ほど行っているので、機会がありましたら是非見にいらしてください(^^)/。